最適なプレゼント~オルゴール~

受験もあって、彼女とお別れしたあとは

学生らしい中学生活を送った。
集中して勉強したおかげ?で、希望の高校にも入学でき、
気持ちがたるんだころ、次の彼女が出来た。

ゴールデンウィーク明けに、彼女が習っている
ピアノの発表会に来てほしいといわれた。

ピアノを習っているなんて、お嬢様だなぁ、と思いつつ、
そんな姿を見たくて、ついでに友達にも
自慢したくて行ってみることにした。

花束とかって要るのかな?
一応、小さい花束を用意する。

それから、付き合った記念もかねて、
おれはオルゴールをプレゼントすることにした。

今思えば、最初の彼女の感動した姿が頭に
焼き付いていたのかもしれない。

おれはそのころはまっていたインターネットでオルゴールを探した。
こうやって見ると、めちゃくちゃたくさん
オルゴールってあるんだな、と感心する。
それにしても、いいものはそれなりの値段になる。
安いものは、見た目も単純だ。

そんな中で見つけたのは、グランドピアノの形をしたものだった。
最初見たものは、クリスタルだったので、

とても買える金額じゃなかったけど、白っぽいものなら、
おれのバイト代で買えないものではない。

一応、上の部分は陶器らしいし。
最初のものより、よっぽどいい感じのものだ。
値段も倍くらいするし、彼女のリアクションも倍だったりするのかな?
と、ひとりニヤけてしまう。
いざ、注文する段階になると、ややこしくなって、
結局兄貴にお願いすることになった、情けないおれ・・・。

発表会当日。
いつもよりおしゃれして、彼女の元へ。
待ち合わせて、プログラムをもらうやいなや、
彼女は控え室に入ってしまった。

発表会が終わるまで、おれはひとりだった。
もともとクラシックとか興味ないし、ピアノって
聴いたことのないおれは、途中寝てしまったらしい。
はっと気が付いて、プログラムを見たら、
まだ彼女の演奏は終わってなかったので、ひとまずほっとした。

眠さをこらえ、彼女の演奏まで我慢する。
彼女の演奏が始まっても、曲名もわからないおれは、
そのよさもわからなかった。
でも、特に間違えた様子もなく、上手なのかな?
それから、発表会が終わるまで、ところどころ睡魔に襲われつつ、
船をこぎながら夕方やっと終了。
いよいよプレゼントを渡せると、おれはドキドキしていた。
けれど、控え室から出てきた彼女は不機嫌だった。
理由を聞くと、
「演奏中に寝てる人、始めて見た。」
らしい・・・。 見られてたんだ。
おれは、彼女にちゃんと謝って、なんとか許してもらえた。
タイミングが悪くなってしまったが、花束とプレゼントを渡す。
花を見て、少し機嫌が直ったようだ。
それから、両親とこれから食事に行くから、と誘われたけれど、
まだ付き合ったばかりで、心の準備ができていないおれは、
バイトがあるからと断ってその場を立ち去った。
結局、おれの前でオルゴールを見てくれなかったのがすごく残念だった。
あとから、 「オルゴール、ありがとう。」
のメールはきたけれど、リアクションも、
ついでに感動も全然伝わってこないことに、おれはがっかりしてしまった。