最適なプレゼント~オルゴール~

3年後、おれは彼女との結婚を決意する。
お互いの家にもお邪魔しあって、よい感触もつかんでいたし、
周りもそんな雰囲気になっていたし・・・。
そんな彼女に、おれはどうしてもプレゼントしたくなっていた。
そして、オルゴールを購入してしまう。
ハート型のスタイリッシュボックス。
また失敗したらどうしよう・・・。
そこに、頑張って貯金してきた財形を崩してダイヤのリングを入れておいた。
仲良い女友達に頼んで、きれいにラッピングしてもらう。
まるで、最初からオルゴールをプレゼントするかのように。
クリスマスイヴの夜に、いつもよりちょっと高めのレストランを予約。
さすがの彼女も、プロポーズを察知しているのかしていないのか、
いつもよりめかしこんで、いつもよりかわいかった。
どこか緊張して見えるのは、おれが緊張していたからか?
コース料理のデザートをきれいにたいらげ、
食後の飲み物をのんでいるときに小さな紙袋を彼女に渡した。
「開けてもいい?」
丁寧にラッピングをはがして、小箱からオルゴールを取り出した。
そんな彼女の目には涙が・・・。
思わずおれは、 「えっ?」 と、場違いな言葉を発してしまった。
やはり失敗したのか?
それとも、早くもリングに気が付いてしまったのか?
何も言えずに固まっていたおれに、彼女が、
「はじめてわたしに聞かずにプレゼントを選んでくれたのがうれしくて・・・。」
なんだそっちか・・・。 と案心しつつも、彼女まかせだった自分に少々反省。
どんな音楽か聴こうとして蓋をあけた彼女の目が、本当に丸くなったように見えた。
やっと、リングに気が付いたようだ。
そこからは言うまでもなく、号泣。
泣かせてしまったことに動揺しつつ、周りの目も気になってあたふたしてしまったが、
状況を察知したレストランの人たちにも祝福され、
おれのプロポーズは大成功?となったのだった。