最適なプレゼント~オルゴール~

結局、その彼女とも趣味の違いや価値観?の違いからすぐにお別れしてしまった。
それから、彼女が変わるたびに、おれは最初のプレゼントをオルゴールにしてしまう。
最初の彼女の反応に、どこかでおれは捕らわれていたのかもしれない。
皆、それなりの反応は見せてくれるが、あの時ほど感動してくれることもなかった。
後になって気が付いたのだが、少々綺麗で高めのオルゴールを贈ったところで、
なかなか喜んでもらえないのが現実なのだ。
高校生にもなると、友達に彼氏からのプレゼントを自慢したいという気持ちも
湧いてくるらしく、周りにうらやましがられるブランドもののネックレスや
お揃いの(ブランドの)キーホルダーなんかの方が受けるようだ。
おれだけが、いつまでも子どもだったのだ。
大学に通う間、オルゴールのプレゼントを続けたけれど、
思うような反応もなく、いつしか彼女をつくるのも面倒になってきてしまった。
適当にサークルを楽しみ、何とか単位もクリアして、無事に卒業、就職。
就職して出来た同期の彼女に、おれはもうオルゴールをプレゼントしなかった。
プレゼント恐怖症になっていたおれは、彼女の誕生日が
くる半年間は、何かを贈ることをしなかったのだ。
半年後の彼女の誕生日は、無難に、彼女のほしがっていた
ペアリングを一緒に買いにいった。 ほしがっていたリングとあって、彼女も大喜びしてくれた。
それからの付き合いも順調だった。
やはり、今まで、綺麗な思い出に固執しすぎて、
付き合いまで上手くいかなかったのか、といまさらながら反省していた。
プレゼント恐怖症のおれは、それからも彼女の欲しいものを事前にチェックして、
プレゼントを購入して、付き合いも順調に続いた。